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小児-キーワード

出生体重

出生時の体重。出生体重によって新生児を以下の3段階に分類できる。

 

①低出生体重児

出生時体重2,500g未満。特に低出生体重児のうち1,500g未満の児を極低出生体重児(極小未熟児)1,000g未満の児を超低出生体重児(超未熟児)ともいう。

②正常出生体重児

出生時体重2,500~4,000g未満。

③高出生体重児

出生時体重4,000g以上。巨大児ともいう。

生理的体重減少

生後数日のうちに出生時体重の約6%(時に10%)の体重減少を認める。これを超える脱水症状や低栄養の恐れがある。未熟児では成熟児より体重減少の程度が強く、出生時の体重への回復も日数がかかる。

体重増加

満期出産の場合は3㎏を少し超えており、やや男子が女子よりも重い。生後3ヶ月で2倍の約6㎏になり、1歳児で3倍の9㎏になり、小学校入学時には約20㎏になる。

乳歯の萌出

乳歯は乳中切歯から乳側切歯、第1乳臼歯、乳犬歯、第2乳臼歯の順に生える。生後6~8ヶ月から生え始め、2~3歳で生えそろう。通常6~11歳頃永久歯と入れ替る。

アプガースコア

新生児仮死の判定方法。各項目最良2点で合計10点。8点以上を正常、4~7点を軽度仮死、3点以下は重度仮死。

 

カウプ指数

乳幼児期の肥満判定のための指標。「Kaup指数=(体重(g)/身長(㎠))×10」の式で求める。乳幼児期はKaup指数14.0~18.0が基準範囲、22以上は太り過ぎ、13~10はやせ、10以下は消耗症となる。

原始反射

正常な新生児において特徴的に観察される反射行動。原始反射は脊髄や脳幹レベルの反射であり大脳皮質の発達に伴い抑制され、自然に消失する。そのため新生児反射が新生児期にみられない、あるいは消失時期を過ぎても残存する場合は大脳皮質の障害を疑う有力な手掛かりとなる。

把握反射

掌や足底を指で刺激すると指を屈曲させ握るような動作をする。掌は2~3ヶ月頃に消失し、やがて随意把握に変わる。足底は1歳近くまで残存する。

Moro反射

頭を持ち上げて急に落とすような動作をした時などに両上肢を開き側方から正中方向に抱きつくような動作をする。6ヶ月頃には消失する。

非対称性緊張性頸反射(aTNR)

乳児を仰臥位にして頭部を一側に向けると、しばらくして顔が向いてる側の上下肢を伸展し、後頭部が向いてる側の上下肢を屈曲する姿勢をとる。6ヶ月頃までに消失する。

吸啜反射

口の中に小指を入れると強く吸い付き音を立てて指を吸啜する。

運動発達(正常に発達しているかの姿勢、運動面の観察ポイント)

乳児期(~1歳)

1ヶ月:体重増加、活動性、哺乳力、筋緊張を観察。

4ヶ月(健診):頸定の確認、Moro反射やaTNRなどの原始反射の消失。

7ヶ月:座位、支えると足をジャンプする。

10ヶ月:四つ這い移動、つかまり立ち、パラシュート反応。

幼児前期(~2歳)

1歳過ぎ:咀嚼嚥下機能の成熟、始歩(14~15ヶ月)

1歳6ヶ月(健診):転ばないで歩く。離乳完了。

幼児後期(~6歳)

2歳前半:粗大運動・平衡機能および上肢の操作性の発達。

2歳後半:粗大機能面では特に大きな変化なし。

3歳(健診):運動機能面では特に大きな変化なし。

3歳半~4歳:交互に足を出す階段昇降。ケンケン、ボール投げ、三輪車をこぐ。

4歳:片足立ち

5歳:スキップができる。

遺伝子病

生命体中に存在する遺伝子情報のセットをゲノムという。ヒトゲノムは30億個の塩基の対からなる。遺伝子はゲノム上に存在しその数は32,000個である。その遺伝子変異により遺伝子病が生じる。遺伝子病には①先天代謝異常、②先天奇形、③神経疾患、④筋疾患などがあり、メンデル遺伝形式を取る。

染色体異常(配偶子病)

ヒトの染色体は22組、44本の常染色体と、1組2本の性染色体から成り立っている。染色体異常には1対(2本)あるはずの染色体が1本しかない(モノソミー)、3本ある(トリソミー)するような数の異常と構造異常がある。構造異常としては染色体の一部が失われた状態の欠失、染色体の一部または過剰な染色体が他の染色体に付着した転座、染色体の一部が逆転した逆位などがある。全身性の障害を示すことがあり、子宮内または生後の成長障害、小奇形(手掌紋の異常、耳介下方付着、両眼間乖離など)の多発、精神遅滞を示す例もある。代表的な染色体異常症を以下に示す。

常染色体の数の異常

→「ダウン症候群(21番染色体トリソミー)、18トリソミー、13トリソミー」

性染色体の数の異常

→「ターナー症候群(X染色体モノソミー)、トリプルX(X染色体トリソミー)、クラインフェルター症候群(XXYの性染色体)」

構造異常

→「猫なき症候群(5番染色体短腕欠失)、ウォルフ症候群(4番染色体短腕欠失)」

胎芽病

妊娠14日~12週を胎芽期という。受精卵が分割し、器官形成までの主要な臓器や組織の原型が完成する。細胞は急速な分裂と分化をするため、内因性、外因性の障害を受けやすい時期である。胎芽病は遺伝と環境の相互作用の結果生じる。多くの消化器奇形、口唇・口蓋裂、先天性肥厚性幽門狭窄、巨大結腸症、無脳症、二分脊椎などが胎芽病に属する。その他器官形成途上のヒト胎芽に環境因子が作用して生じる、特殊な奇形や症候群も胎芽病に含まれる。

 

胎児病

妊娠3ヶ月~出生までを胎児期という。器官形成が完了し妊娠3ヶ月以降は胎児は急速に大きくなる。大部分の器官は発生を終えた後なので外因による奇形は軽度であるが、脳、外陰部は胎児期でも発生を続けており、外因の影響を受けやすい。先天性トキソプラズマ症(T)、先天性風疹症候群(R)、先天性サイトメガロウイルス感染症(C)、先天性ヘルペス感染症(H)などの出生前感染症の頭文字を並べてTОRCH症候群と呼ぶ。

常染色体性優性遺伝病

ヒトの常染色体(計22組44本)の1対(2本)のうち1本のみが異常になった場合発症する。常染色体優性遺伝では罹患した親から子に50%の確立で伝わる。

常染色体性劣性遺伝病

ヒトの常染色体(計22組44本)の1対(2本)のうち2本とも異常になった場合発症する。常染色体劣性遺伝では両親が保因者である場合に子に25%の確立で伝わる。

先天奇形

先天奇形は遺伝的要因や環境的要因により、頭部、顔面(目、耳、鼻、口)、輪郭、頚部、胸腹部、外陰部、四肢に奇形が発症する。大きく先天奇形症候群と環境因子(薬物、化学物質、感染症)による先天奇形に分けられる。代表的な先天性奇形症候群には①Williams症候群、②Sotos症候群(脳性巨人症)、③偽性副甲状腺機能低下症、④歌舞伎メーキャップ症候群、⑤頭蓋骨癒合症、⑥CATCH22

(DiGeorge症候群)がある。奇形の原因となる薬物、化学物質には①サリドマイド胎芽病、②抗てんかん薬、③胎児性アルコール症候群、感染症には①先天性風疹症候群、②先天性トキソプラズマ症、③先天性サイトメガロウイルス感染症がある。

早産児

在胎37週(259日)未満の出生児。特に在胎28週未満を超早期産児ともいう。

正期産児

在胎37週以上42週未満の出生児。

過期産児

在胎42週(294日)以上の出生児。

流産

妊娠22週未満の胎児娩出をいう。

【参考文献】

監: 奈良 勲/鎌倉 矩子「標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 小児科学」

監: 廣瀬肇「言語聴覚士テキスト 第2版」,2012年

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